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2022-03-06

アスペルガーの女の子が主人公のYA

 去年の暮れにインスタに投稿していた本の紹介を、すこし手直しして再掲📚

“L’inventario delle mie stranezze” di Silvia Pillin / Edizione EL(2021)
シルヴィア・ピッリン『私の普通じゃないことリスト』



〜あらすじ〜
主人公のアガタは、いろんなことに強いこだわりがある。人混みや大きな音やきつい香りが苦手だったり、人の冗談が理解できなかったりする。そしてそんな自分が嫌い。
学校では嫌われ者で、なるべく空気のように気配を消し、人と関わらないようにすることでなんとか学生生活を乗り切っている。母は小さな妹の世話に手一杯で、アガタの悩みの聞き役にはなってくれない。唯一得意なのは数学だけど、勇気を振り絞って校内の算数オリンピックに出たいと告げても、担任からは「なんで女なんかが」と無視されてしまう。もちろん、反論するだけの自信も勇気もない。
どうして私はみんなと違うんだろう、なんでみんなみたいにかっこよくできないんだろう……そんな苦しいことばかりが続く毎日。
しかしある日、隣にヴェーラというちょっと変わったおばさんが引っ越してきて、彼女との関りを通してアガタの人生は少しずつ変わり始める。

というお話です。
今までずっと生きづらさを抱えてきた女の子が、思春期になって初めて自分はアスペルガーだということを知り、絶望からそれを少しづつ受け入れていくまでを描いた短めのYAです。若い人がアスペルガーについて理解するための入門書的な良書ではと感じました。

そしてこの本に込められた「みんなと違うのはダメなことじゃないし、自分の限界をちゃんと知っていることはむしろメリットだよ」っていうメッセージは、なんか私にも響くなぁって。
周りのすごい人たちを見て、自分もあれもこれもできるようにならなければ、と焦ってしまうのではなく、自分のできる最善以上を求められた時にちゃんと「それはできません」と言えることは、不安の強い人(私もそう😅)や心穏やかに生きていきたい人にとっては大切なことなんですよね。

派手なストーリー展開などはありませんが、むしろそれがリアルで、読んだあと自分も前向きになれる本でした。私、こういう本が大好きです。


最後に。作中でヴェーラおばさんがいろんなお菓子を作るのですが、これがまた美味しそうで。生唾ものでした🧁😋

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