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2017-12-20

パネットーネとパンドーロ

この冬は全く外出していないのですが、世間はもうすっかりクリスマス一色になっていることでしょう。

パーティの準備にプレゼントに…と、世のお母さんがたにとってはけっこう大変なイベントですよね、たぶん。
その点私はなぜか小さい頃からクリスマスに全く興味を持たずに育ってきたので(我が家は、お年玉で好きなものを買う、というビッグイベントが重視されていた)、自分が親になった今も、クリスマスだから子供のために特別なにかやらなければ!という気持ちがあまりなく、気楽なものです(笑)

とはいえ、クリスマスシーズンだからこそ手に入りやすくなる、という物があって、そういったものには自然と積極的にならざるを得ません(主に食べ物ですが😋)

例えば、イタリアのクリスマスといえばこれ!

パネットーネ‼️



 なぜだか近所のディスカウント酒店で“コストコフェア”なるものをやっていて(いったいどういう流通経路なんだろう)、他で買うよりすっごくお安くなっていたので、ゲットしてきました! 
この手の市販品で一番大きいサイズ、980gです♪


パネットーネとは、ドーム型の発酵ケーキで、クリスマスシーズンの定番お菓子です。ミラノ発祥なのですが、その歴史は古く、イタリア料理史の本“Il genio del gusto. Come il mngiare italiano concuista il mondo(食の天才〜イタリアの食品はどのようにして世界を制覇したか〜)”Alessandoro Marzo Magno著(本の紹介記事はこちら♪)によると、もともと中世からあった「甘いパン」が次第に大きく、ゴージャスな材料で作られるようになり、いつしかパネットーネという名前になり、そしてクリスマスに食べられるようになったとか。

ぱっと見、固くてモサモサしてそうな感じがするかもしれませんが、実際はバターと卵をたっぷり使ったデニッシュ生地なので食感はふわふわしっとり。レーズンやシトロンなどのドライフルーツがこれでもかというほど入っているので、ずっしりリッチな甘さで相当食べ応えがあります。

ちなみにコストコのパネットーネはBauduccoバウドゥッコというメーカーのものでしたが、なんとブラジル製!
ちょっとびっくりしましたが、調べてみたらブラジルでもパネットーネはクリスマスにかかせないものとして定着しているのだとか。
よく考えたらブラジルはイタリアからの移民もたくさん暮らしている国なので、全く不思議なことではないですね。(「母を尋ねて三千里」の世界だわ… まぁあれはアルゼンチンですけど)


画像はメレガッティのHPから
お借りしております。
そして、イタリアのクリスマスケーキには代表選手がもうひとりいます。それはパンドーロ!大好き!!

これも卵とバターをたっぷり使った発酵ケーキなのですが、パネットーネとの違いは、
・ドライフルーツなどの入らないシンプルな生地
・形が上から見ると星形
・粉砂糖をまぶして食べるのがデフォルト
・名前の由来や起源に諸説あるパネットーネと違い、作った人がはっきりしている

これまた上記の本“Il genio del gusto”からの受け売りですが、パンドーロというのはもともとヴェローナ地方でクリスマスに食べていたケーキをベースに、同地方のお菓子屋さんMelegattiメレガッティ社がレシピを工夫し「パンドーロ」という商標登録をして1894年に発売したのが始まり。

で、その後すぐに、マネするメーカーが出てきたんだけど、メレガッティはそれを「俺のレシピを正確に再現できるなら1000リラあげるし、パンドーロと名乗ってOKだぜ」と男前なところを見せたので、あっというまにパンドーロは世間に広まったそう。しかも、合格できた者は一人もいなかったとか。(なんと商売上手!)

パンドーロ、私すっごく好きなんですよね。パネットーネよりも好き。
小玉のスイカくらいの大きさなのですが、イタリアにいるときはスーパーで五ユーロくらいから買えるので、自分の部屋で一人むしゃむしゃ食べてました(笑)セントラルヒーティングの上に置いて温めておくと美味しいんですよね〜これが!
残念なことに、パンドーロの輸入ものはまだ日本ではほとんど見かけません。たぶんパネットーネよりも日持ちがしないからだと思いますが。

ちなみに、このパンドーロの生みの親メレガッティ社なのですが、ここ数年の経営難からこの冬倒産の危機に陥ってしまっています。工場のラインストップに加え、従業員の給料未払いが続いていたのですが、そんな状況をみたヴェローナの人たちが「クリスマスにメレガッティを食べて従業員を救おう!」とSNS上で運動を起こし、なんと150万個以上売れたそうです。(corriere della seraの記事より)でも倒産回避できたわけではない、というのが悲しいところ。どうなるんでしょうね。次は春のパスクワに食べるお菓子「コロンバ」の製造に向けてがんばるそうですが…


ということで、書いていたらすっごく食べたくなってきました。
とりあえずパネットーネ。頂きまーす!!

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