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2017-12-18

イタリア語で読書「食の天才〜イタリアの食品はいかにして世界を制覇したか〜」

今日はイタリアの本の紹介、記念すべき第一弾です!

私はイタリア語を大学で学んだのですが、「なぜイタリア語を専攻したの?」と尋ねられるとなかなか一言で説明することが出来ません。要は、単純に「イタリアの○○が好きだから」という理由ではなく、専攻を考えるにあたって色々な思惑・打算などがあったんですよね(笑)このことについてはまたいつか改めて書けたらと思います。
ただ、ベタですが、やっぱり「イタリアの食文化に惹かれたから」というのは大きかったように思います。

翻訳の世界に足を踏み入れた今もその興味は変わらず、料理本や、美味しい食べ物の登場しそうな小説など、食にまつわる本をみつけるとついついポチってしまう自分がいます。

翻訳家になるという目標のなかで、私がいつか訳してみたいジャンルNo.1、それが「イタリアの食(にまつわるものならなんでも!)」なんです。


ということで、前置きが長くなりましたが、今日ご紹介するのもまさにイタリアの食そのものを扱った本。





“Il genio del gusto. Come il mangiare italiano ha conquistato il mondo”
「食の天才〜イタリアの食品はいかにして世界を制覇したか〜」

Alessandro Marzo Magno (アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ)著
Garzanti Libri  刊
2015年
412p






この本、2014年に初版が出た時、「これは私のためにあるような本だ!絶対読まねばなるまい!」と意気込んで発売日にAmazon.itで買いました。
そのわりに、というか、商品が上の子が生まれるのと前後して届いたため、気がついたら積ん読になっていて、今は押し入れの箱の中に。。。
ところが今回、急に読みたくなって、今度は電子書籍版を買ってしまいました。なにやってるんだか、って感じですが、こちら2015年に出た改訂版とのことだったので、まぁよしとしました(笑)


さて、気になる内容ですが、本書は、イタリアを代表する18の食品がどのようにして世界を魅了してきたか、ということをまとめたものです。2015年のバンカレッラ賞(料理部門)ノミネート作品です。
著者のアレッサンドロ・マルツォ・マーニョ氏はジャーナリストで、イタリア文化史のジャンルでいくつも本を書いていて、そのうち二冊は邦訳も出ています。
 →「ゴンドラの文化史 運河をとおして見るヴェネツィア」白水社 2010年
 →「そのとき、本が生まれた」柏書房 2013年

取り上げられている18の食品は以下の通り。どれも見ただけで食べたくなる〜!
1章 997年:ピッツァ
2章 1004年:フォーク
3章 1154年:スパゲッティ
4章 1279年:マカロニ
5章 1402年:サラダ
6章 1473年:リゾット
7章 1545年:生ハム
8章 1549年:パネットーネとパンドーロ
9章 1565年:ポレンタ
10章 1570年:モッツァレラ
11章 1573年:エスプレッソ
12章 1694年:ジェラート
13章 1747年:バルサミコ酢
14章 1855年:コトレッタ(カツレツ)
15章 1963年:カルパッチョ
16章 1964年:ヌテッラ
17章 1979年:スピリッツ
18章 1981年:ティラミス

これら各食品の誕生秘話から、それらが世界へと広がっていった経緯、そして現代社会でどのような影響を人々に与えているかまで、過去と現在の情報がまんべんなく盛り込まれた内容となっています。
著者の視点が自国に贔屓目であることは本書のテーマからまあしかたないこととしても、この本を読むと、いかにイタリアが文化的・経済的に「すばらしい食文化」で支えられている国かということを改めて認識させられます。

なかでも私が読んでいて面白いと思ったのは、こういった食品を生産してきた「メーカー」についての話がけっこう詳しく書かれていること。
というのも、だいたい創業秘話みたいなのはどこのメーカーでもWebサイトなどに自慢げに載せていますが、例えばその後何度も倒産しかけた、とか社会的バッシングをうけた、とか○代目がダメダメ社長だった…というようなプチネガティブな話題は、なかなか日本人の耳にまでは届かない部分ですよね。(Wikipediaなどでもそこまで詳しくは書いていないことの方が多い)
でもそういう裏の面も、というか裏面こそ?知りたいのが人間というものです。酸いも甘いも味わって生き延びてきた歴史を知ったあとでは、自然とそのメーカーの商品への愛着も増す気がする…と思うのは私だけでしょうか。でももしかしたら、良い印象を与えるように書くことでメーカーから宣伝料もらってたりして!なーんて。はい、もちろん冗談です、ごめんなさい。

ということで、「イタリアの食品はいかにして世界を制覇してきたか」。
イタリアの食べ物が美味しいのは万人が認めるところ。でも、それらが世に広まっていったのは単純に食べ物そのものに実力があったからではなかった。
やはりイタリア食品がこれだけの成功を納めているのは、それに関わってきたイタリア人のしたたかさや商才によるところが大きいんだよ、というのが本書のメッセージであると感じました。

(たしかに、私が今までに出会ってきた伊メーカーの人たちって、ものすごく真面目でめちゃくちゃ働いてて、そしてプレゼン能力は抜群で、という方が多かった。イタリア人て、底抜けに陽気でちょっとテキトーで、そしていっぱい休んでるっていうステレオタイプで見られがちですが、別にそんなことないんですよねー。成功している人はみな勤勉です。国とか関係ないですね)



そこそこのボリュームがある本ですが、読みやすく書かれた文章かつ章ごとに独立した内容なので、ぱらぱら読みには最適です。
かく言う私も、気になった章から順次読んでいるところです。

…つまり、実は読了まではまだまだ遠い道のりである、ということをここに告白いたしまして(全部読んでないんかい!)、本日の記念すべき本紹介第一弾はこのあたりで閉じさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。


 

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