自分の中で勢いがあるうちに第二弾といきましょう。
今日紹介するのは…
シネマ部門!
そもそも「シネマ部門」とはなんぞ?というところからなのですが、こちら2020年のみ開設の特別部門なのです。
運営のサイトの説明によると『技術面、芸術面、テクストと絵のバランス面において優れた成果をあげている作品』に贈られる賞だとのこと。
期待が高まりますねっ。
ということで「シネマ部門」最優秀賞作品はこちらです。
"MVSEVM"
(美術館)
Javier Sa'ez-Casta'n スクリプト
Manuel Marsol 絵
2019年 Fulgencio Pimentel(スペイン)
Orfeu NegroOrecchio(ポルトガル)
Orecchio Acerbo (イタリア)刊
52ページ
7歳から
まず、本を手に取った瞬間に、胸が高鳴りました。
手触りがいいなぁ。ちょっとデコボコしてるんです。よく見るとエンボス加工になっています。そして、額縁と絵の境目の凹凸がちゃんと再現されているのも好きポイント!
それから、印刷の発色もよき!読む前から、なでなでしながらつい「これは買ってよかった〜」と言ってしまった私です。
わかるかな、額縁のデコボコ |
さて、あらすじです。
ドライブ途中のおじさんが、郊外に建つ一軒家を見つけ入ってみると、そこは小さな美術館。でも、なんだか普通じゃない…
…えっ? うそ! なんで?? うわぁぁぁ!! どうするの?!
うぅ、ぎりぎりネタバレしないように書くとこんな感じです。。。
版元の紹介文に、「美術館ってどんなところだと思う?絵がたくさんある場所?それとも想像をかきたてる場所?」とあるのですが、その通り主人公はたどり着いた美術館で絵を見ているうちに、夢か現実か、それとも妄想なのか、よくわからない不思議な体験をします。
美術館内に飾ってある絵がどれもシュルレアリスムっぽい感じで、見た瞬間から「ああこれは何か起きる予感」って思わせます。ちょっとだけ「注文の多いレストラン」っぽいな。あとヒッチコック。
とっても面白かったです。
この本、サイレントブック(文字のない絵本)なので、余計に絵が映像として頭の中に流れていくようでした。さすが、シネマ部門にふさわしい。
作者のお二人はスペイン人。出版は三社三ヶ国からの同時発売ということかな?
制作にあたっては、舞台のミニチュアを作ったりして、原画は木製パネルに描いているそうですよ!
*****
話変わって、ここからは文字のない絵本=サイレントブックについて。
私がサイレントブックと聞いて思い浮かべるものの代表作に、例えばショーン・タンの「アライバル」(2011年、河出書房新社)があります。
多分、「文字のない絵本」というジャンルが広く日本人に認知されるきっかけになった作品なんじゃないかな、などと私は勝手に思っておりますがいかがでしょうか。
でも、文字のない絵本それ自体はまだまだ日本では普及していないのかな、という印象があります。
一方、日本よりずっと移民社会のイタリアでは、サイレントブックは言葉の壁を超えて一緒に楽しめる本として捉えられていると聞いたことがあります。毎年サイレントブックのコンテストを行っている出版社なんかもあります。
日本でも、文字のない絵本、もっと増えるといいですね。
<おまけのお話>
文字のない絵本って、どうやって読み聞かせしたらいいの!?
息子氏に「読んで」と言われて変にドキドキしてしまいました笑
とりあえず、まずは一緒にページを眺め…
私としては『はて、いったい彼はこの絵の中の、あの重要なポイントにちゃんと気がついているのか?』などと気を揉みつつ、
『でも私から教えてしまうと彼は楽しくないかも』と悩みつつ、
なんだかんだ二人で「えーっ」とか「なんで!」とか言っているうちに、とりあえず第一回目は無事最後までたどり着きました。
今度は彼の考えたお話を聞いてみたいなぁ、とそんな(親バカな)楽しみを発見。
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